日々の考えごと

コロナに罹りまして。ホテル療養編

2021年、9月上旬。
背中に小さな違和感を感じたのが最初、数日後に悪寒に発熱。
病院で鼻腔か採取した検体で陽性。
その後は自宅、ホテル、結局入院。
約2週間のベッド上生活を経て、いぇんが得たものとは?

陽性判明から1時間以内に保健所からの連絡。即日ホテル療養が決定

保健所の迅速な対応に驚くばかりでした。
クリニックで陽性が確認されてその一時間も絶たないうちに保健所から連絡がありました。
電話に気づかず取れなかったため折り返したところ、ホテル療養が決定し、配車の手配も整っていました。

その頃の私は「ホテルに行けばなんとかなる」とすがるような気持ち、体調になっていました。
今となってはこの時点で結構やばい。
お医者の誰かに診てもらうべきだと、今の私ならアドバイスをします。
自分では厳し目にジャッジしてしまう。(まだ大丈夫とか、大したことじゃないとか)
もう体調のことはお医者様に診てもらったほうがもう安心です。
自己判断、そんなにあてにしないほうがいいと思います。

持ち物は最悪、着替えとタオルだけでOK

持ってきてくださいと言われたのは、着替えとタオルとスマホ充電器と体温計
ホテルや自治体からは支給されないため、最低限必要な荷物は上のものだけ。
その他飲み物や暇つぶし道具は持ち込みOKだった。
けれどその時の私はもう余暇を楽しもうなんて気力はなく、
必要最低限のものと家族が用意してくれた大量のウィダインゼリーを抱えて行きました。

けれど、結局ウィダインゼリーは一本も消費できないまま自宅まで持って帰ることになります。
ちなみに食欲がなければ、ゼリー飲料はホテルで支給してくれます。
だから余計なものは持っていかなくていい。

ちなみに体温計も持ってくるよう指示されるが、忘れてたらホテルが貸してくれます。
充電器も持ってくるよう指示されるが、私はまんまと忘れてホテルから貸してもらいました。
だからほんとに最悪着替えとタオルだけあればなんとかなる。(小声)

ホテルでの生活模様。設備編

クリニックで陽性が確認された次の日には、療養するためのホテルへGO。
ビニール張りされた車に複数人まとめてピックアップし、同じホテルに連れて行ってもらいます。
運転手さんは確か一人。防護服に身を包んでいました。

その頃の私はというともうぐったりで、
ピックアップの時間に玄関で倒れ込んでお待ちしている状況でした。
そして車の中で酷く酔ってしまって吐き気が危険水域に。
この吐き気、乗り物酔いの一過性のものかと思っていたら、
ホテル療養の間ずっと悩まされることになりました。
これは私の自己判断に過ぎませんが、脱水症状だと思います。

初のアパホテル

私がお世話になったのはとあるアパホテル。
インパクトあるCMを見たことがあるだけで、初めての利用でした。

なんというか派手な部屋でした。
ベッドに寝転ぶと真上にシャンデリアが吊ってあるの、笑ってしまいました。
豪華なものをこれでもかと盛り込んで、でも色合いはモノトーンにして落ち着きを演出。
でも、ところどころなにこれ?というデザインの部屋でした。
いえ、全然。療養させてもらっている身です、なんにも文句はありません。

それからベッド自体がものすごく高い位置にありました。
私は平均より高身長ではありますが、それでもよいせ!と乗り上がらないといけない高さ。
元気だったらテンションも上がったと思います。
でも病人には乗り越えられない壁となって、
私はベッドの足元で座って壁にもたれ掛かる姿勢でいる時間も長かったです。

それからユニットバスに机、冷蔵庫、ベッドの足側には大きな液晶テレビ。
42インチ以上はあったかと。
カードキーを使って入室すると自動的にTVがついた記憶ですが、……記憶違いかも。
でも光も眩しくて目が辛かったため、TVもシャンデリアも一度もつけることなく、
間接照明だけがついた薄明かりの部屋の中でしばらく暮らしました。

食事は定時にお弁当を取りに行くスタンス

一日3回の食事はお弁当です。
提供している飲食店(ホテル??)の名前が書いてあったのですが、写真を撮る気力はなく。
「コンビニ弁当みたい」なんて声もあるそうですが、私には正直美味しそうに見えました。
今となってはホテル療養中にほとんど食べられなかったのが悔やまれます。

ホテルでは定時にアナウンスが鳴って、その時間帯だけホテルの部屋から出られます。
食事、飲み物の他、歯ブラシや紙コップ、洗濯用洗剤、トイレ用洗剤、トイレットペーパー、インスタントのお味噌汁、お箸などなど。
軽食やアメニティなどが揃っており、必要なものを各自部屋に持って帰っていきます。
電子レンジも完備されていて、暖かなお弁当も食べられます。
健康体であったらどれだけ怠惰で最高な生活が送れただろうかと、思いを馳せたりもします。

毎日の検温、パルスオキシメーターの数値入力

一日の決まった時間に、検温し、貸し出されたパルスオキシメーターの数値を、指定のサイトに入力します。
封筒の中にアドレス情報が入ったQRコード、
個人に割り振られたログイン用パスワードを記したプリントが入っています。
各自でアクセスして数字を入力するだけ、なのですが。
不意にパソコン操作に疎い母親を思い出し、
もし母がホテル療養したらこれ自分だけでできるかしら?と不安になりました。

ホテルでの生活。体調編

仕事に追われる悪夢を見る

療養している私の体調はといいますと。
療養しているはずなのですが、眠る度に仕事に追われる夢を見ます。
正確に言うと夢か現かわからないといった状況です。

私は常日頃、妄想気味ではあるのですが、
(頭の中で勝手に話が進んでいったり、ドラマチックな展開になっていったり、
頭の中だけで失礼な客をぶん殴ったり、そういう妄想です)
頭が勝手に動いて仕事に追われる状況を作り出そうとします。

療養中でもこれくらいできるでしょ。と、確かに比較的簡単と思われる作業を任されます。夢の中で。
でも集中を欠いた頭ではそんな単純作業すらちゃんとできる気がしません。
ちゃんとできないことにストレスを感じていました。
療養中の夢の中で。

その他にも架空の仕事が次々と手元にやってきます。
必要な資料がない、肝心な仕様書がない、でも決定した納期だけが迫っている。
という、妄想が夢か現か判別できないまま何日もいました。

解熱剤を飲んで布団が濡れるほど汗びっしょりで目が覚めて、
全然仕事が進んでない!と焦って周りを見渡すも、仕事なんて当然なにもない。
周りに何もない状況のほうがおかしく感じられて、
「あれ、私何か忘れてないか?!」「さっきの資料どこに置いたっけ?!」と自分の方を疑う始末。

休んでいるんだから仕事なんかあるはずないのに。仕事を探している私の頭。
「……え??やばいな私。」
冷静にそう思えたのはホテル療養始めてから数日経ってからでした。
「仕事なんかない!仕事しない!」
と、ことあるごとに呟かないと、目が覚めて仕事を探す自分を止められませんでした。こわ。

書類を読む気力はない

ホテル療養した初日からもう体調は芳しくありませんでした。
一緒に車に乗ってきた方は、「おつらそうですね、大丈夫ですか?」と
気さくに声を掛けてくださいましたが、私は頷くのがやっとです。
足も重たくて、前に進めませんでした。

ホテルに到着すると、自分の名前の入った封筒を持って部屋へ直行します。
封筒の中身はホテルでの過ごし方、パルスオキシメーターの使い方、
毎日の検温などの数値を、専用のサイトに入力する案内、
その他相談窓口などのチラシが多種、封入されているのですが、
その一枚も目を通すことができませんでした。

呼吸は全然苦しくない

咳は多少出るものの、ホテルに入る前に処方された咳止めの薬を飲めば楽になる程度の症状でした。
パルスオキシメーターも示す値は毎回98%前後、全然問題ありません。
実際リモートで顔を見てもらっても、唇の血色は良くて安心されました。
コロナ=呼吸器官にダメージ
という印象からは程遠い自分の状況でした。
私の場合、コロナ=脱水症状で吐き気。

熱は37度後半から38度台をうろうろとしていました。
37.5度を超えたら解熱剤を飲んでくださいと言われ、
一日3回の検温で、ほとんど毎回飲んでいた記憶です。

たまに出る咳は、痰が絡みます。
でも吐き出せるほどの勢いがなく、なんだか常に気持ち悪さの残る咳をしていました。

リモートで面談へ

私の体調があまり芳しくないので、内線電話があり「リモートでお顔を拝見できますか」との連絡。
リモートの意味がわからず尋ねたところ、ホテルの一室が面談室になっており、
設置されたiPadで顔を見ながらリアルタイムに話せるというものでした。

こちらもお医者さんがいるわけではないですが、
看護師さんと直接話しができるもので、こんな対応をしてくれるとは知らず、感動しました。

ケアワーカーの偉大さを感じる瞬間。励ましの言葉に涙。

iPad越しにお話をしますが、
辛いですよね、と言われるとボロボロと泣けてきてしまいました。
ケアワーカーの偉大さを感じる瞬間でした。
看護師さんも、直接医療行為はできないから、
なんとか気遣ったり、出せる範囲の薬(市販の薬)で楽になるよう尽くしてくれます。
私もそのことは分かってはいます。
私は薬飲んで、なんとかご飯を食べて、回復に努める。
自分でやるしか無いんだ、と分かっています。
でも歩くのも、起き上がるのも辛い。
その気持ちを共有してくれただけで、心は少し救われました。

お尻も拭けないほどの吐き気、ついにギブアップ

体調がそんなに悪くない、自力で食事が取れる、動こうと思えば動ける、
それくらいの体力がある方には、ホテル療養は天国だと思います

一方私はというと、体を起こすと吐き気を催してしまいます。
仰向けのまま、こぼさずに満杯のペットボトルの中身を口に運ぶ術を体得するほど、
体を横たえることしかできません。

トイレに行きたくて体を起こしても吐きそうでした。
実際ゴミ箱を抱えながらトイレで用を足します。
汚い話ですが、文字通り上からも下からも、という状態です。

用を足すとパンツを上げるより先に、お尻を拭くより先に、トイレから出て床に倒れ込みます。
そうしないと高いところから倒れながら吐きそうでした。

持ち込んだ薬が切れても、状況を伝えれば市販薬を支給してもらえます。
ただ取りにいける時間は食事の提供時間のみ。
この時間帯に行かねばならないのは分かっているのですが。

食事のアナウンスがなる →目が覚める。
ベッドから滑り降りて床に座る →吐き気を催す
吐き気止めの薬と水を飲んで耐える →でも結局餌付いたりせり上がる鍔を吐き出すことでほんの少し楽になり
ゴミ箱を抱えながら部屋を出て、エレベーターを使い、よたよたと水と薬を手に入れる。

その繰り返しでした。

「部屋まで薬だけでももってきてくれよ!」と正直思いましたが、それはやってくれません。
ホテル療養は自分で食事を取れる、薬を取りにいける、その位の体力がなければなりません。
看護師さんはいますし、電話越しに細かく体調を気遣ってはくれますが、治療はしません。
薬も食事も自分で取りに行かなければいけません。

もう吐き気がどうにもならないので、いつでも吐けるようゴミ箱を抱えて部屋を出ます。
足も動かず、亀の歩み。
その一歩の振動すら臓腑に響いて、胃の中は水しかないのに毎度唾がせり上がってきてしまいます。

他の療養している人たちと比べて明らかにダメそうな動きをしている私。
エレベーターを降りたところで、ゴミ箱抱えたまま座り込んで呆然としてしまい、
おそらくどなたかが看護師さんに連絡してくださったと思うのですが、
結果的にギブアップですと伝えて、私は病院に行くことになりました。

すぐに病変へ移送決定

看護師さんが「病院行きましょうか」と行ってくれたことで心底ほっとしました。
なんと数時間内に、お世話になる病院も車も手配されました。
まだ明るい時間帯だったことも幸いしたと思います。(多分午前中、覚えていません)
しかし驚きの早さでした。
最悪たらい回しの末、ホテルに戻ってくることになるのかしら。
保健所はもうパンクしてるから手配にも時間がかかるだろう。
などなど思っていたのですあ。
私が幸運だったのか、ニュースのイメージと実情は違うのかはわかりません。

車椅子で運び出され

ホテルでいよいよギブアップした私は、完全防護服の看護師さんに車椅子で運ばれて一度部屋に戻ります。
散乱した荷物を動けない私の代わりにテキパキまとめて下さる看護師さん。
こんな専門外のことまで面倒を見て下さって本当に申し訳ない&感謝しかありません。
荷物がまとまり、受け入れてくれる病院もすぐに見つかりました。
恐らく1時間も掛かってないです。

再度ビニール張りされたワゴン車に乗って、病院へと向かいました。

ABOUT ME
つきよの
昭和生まれのおひとりさま女性。人付き合い苦手、父親に殴られ男性不審、10年付き合った彼氏にお金を貸して破局、大学中退、うつ、社畜、不当解雇、といった経験を飯の種にして「自分に正直に生きる」をモットーにしています。人生いろいろありますよね。

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