日々の考えごと

本屋さんで働いてたはなし

アルバイトでのべ5年半ほど書店員として働いた経験があります。
書店員になってみたい!憧れる!なんて方の参考になったら幸いです。

TSUTAYAと丸善

本屋さんで働きたいのは子供の頃からの憧れでありました。
紙屋(文房具屋)さんか本屋さんかで働きたいと思っていました。
とにもかくにも本やら紙やらが好きだからです!
接客(人)は好きではありませんでしたが、
本が好きな人は好き!と飛び込んでいった世界でした。
面接でもそれしか言ってません。それしか理由ないですしね。
シフトは週五日、いつでもどこでも入れます!
でもできれば夜がいいですけど!(時給が高いから)

いきなり余談ですが、私が住んでいた田舎(東北地方)には小さな本屋さんしかありませんで、夜7時とかに閉まってしまうんですね。
大学受験のために訪れた大都会東京では、
本屋さんが夜9時まで営業してるんですよ!
すごくない!?それって!?
当時門限が夜9時だったのもありますが、
本屋がそんな時間まで開いてる=人々から求められているなんて、
やっぱ都会って最高だぜ!と、
心が沸き立った記憶があります。

とあるTSUTAYAのいいところ

公式ホームページより
TSUTAYAの素敵なところ
  • 什器がおしゃれ
  • 流行に敏感
  • DVDとかCDを社割りで借りられた
  • 店舗によっては24時間営業
  • イベントやコラボがたくさん!
  • 運営会社CCCが魅力

初めて働いた本屋さんはオシャレなツタヤ。
なんと言っても内装がおしゃれでした。
ラフにカルチャーを楽しむ、気軽に飛び込める、肩肘を張らない、
そんな本屋さんだったなーと思います。

私が勤めたツタヤは学習参考書や辞書、学術書は有りませんでした。
どんな本やもスペースに限りがありますし、
その土地々々の需要を反映させているとは思います。
当時の私はそういう本がないことをツマラナイなと思っていましたが、
必要な人は限られているのは納得できます。

運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の説明はWikipedia先生に譲るとして、
書籍販売専門の会社ではありません。
家電を売り始めたり、図書館をまるごとプロデュースしたり…
今後もどんなふうに形態を変えていくのか楽しみです。
ああしかし蔦屋書店は憧れますよね…あんな空間に住みたい。

とある丸善のいいところ

公式HPより
丸善の素敵なところ
  • 歴史がある
  • 高級感がある
  • レストランがある
  • 学術書が豊富
  • 専門書店感がある

丸善の歴史はWikipedia先生に説明を譲ります。

また働いていた当時は知らなかったのですが、(意味ない)
丸善の接客は百貨店をモデルとしてるらしく、
服装からして男性はシャツにスラックスにネクタイ、
女性はシャツにベストにタイトスカートと規定がありました。
百貨店モデルだなんて知りませんでしたが、
先輩アルバイトの皆様は確かに何をと言わずお上品でしたし、
三越出身の先輩なんかはやっぱり所作がお綺麗でいたので、
自然とそういう環境に馴染むことが出来たのは幸いです。

しかしながら本屋の仕事は結構泥臭いので、
毎日ワキ汗びっしょりでしたけどね。

それから丸善の売りは創業者の早矢仕から取られたという、ハヤシライスです。レストランを併設している店舗もあります。
ちょっとレトロな洋食屋のハヤシライスです。

親戚にお医者がいるのですが、
「学生の頃は丸善で医学書を買っていたよ」とのことで、
丸善で働いただけでなんだかステータスが上がったような錯覚を抱けました。笑

また洋書、洋品の輸入という事業を古くから営んでいたこともあり、
少し高級なバッグや万年筆なども扱っています。
私自身は何も手に取ることはありませんでしたが、
こんな高級な世界があるのか!と視野が広がりました。

書店員への道 面接対策

ここからは、本屋さんに勤めてみたい方向けの情報です。
ぶっちゃけ対策というほどのものはないと思います。
私は採用側に回ったことはありませんが、
こんな人なら受かりそうだなーという印象を挙げてみます。

接客業の経験ありだと好印象

接客経験が有りません!という人でも受かるとは思います。
接客経験がなくとも、面接の場でスムーズに会話のやり取りが出来れば
採用する側はひとまず安心出来ます。

緊張しいで、テンパってしまう。
その気持はわかりますが、お客様と冷静に、
ちゃんとコミュニケーション取れる人なのかどうか気にします。

私と一緒に面接を受けていた中高年のオジサマは、
志望動機を聞かれて自分の経歴を20分以上喋り続けて途中で止められていました。

複数人と面談をしていれば、一人にそんな時間を掛けられないことは、
言われなくてもわかって欲しいというのが、採用側の正直な要望でしょう。
その他、

採用はされたけどあまり評価がよろしくなかった人の例
  • テンパってお客様の話を最後まで聞かずに早合点する
    店員「お求めは○○ですよね?!」客「違います」
  • テンパってお客様の要望を全て失念する
  • テンパってクレジットカードを手で折る(これは稀)
  • 分かってないのに、分かりました!と言っちゃう
  • テンパってお釣りを適当に渡しちゃう
  • テンパって自分が何をやったか覚えていない
  • 早口すぎる、小声すぎる

これらはお客様視点でもそうですが、
同じく働く従業員からしてもちょっと嫌だな…という印象です。


本への愛は深いですが、人への興味はからっきしで、
コミュニケーション出来ないオタクさんは、ちょっとむずかしいかもですね。
本への愛があればいいというわけではありません。

レジ打ち、電話応対がスムーズな方がよい

スムーズな応対と似通った部分がありますが、
レジ打ちと電話応対もスムーズな方がいいです。

もし経験がある方はアピール出来ると思いますし、
なによりスムーズな応対が出来ているかと思います。

経験がないという方は、
正直に経験はありませんが真摯に学んで行きます、
という姿勢をアピールできればいいと思います。

面接の日時などについて、
採用担当者と電話で連絡をする場面もあるかもしれませんが、
その応対もやはり担当者のイメージに残っているものです。
苦手でも、落ち着く、メモをとる、復唱するなど、
出来ることはやりましょう。

レジ打ちに至っては、
最近はセルフレジや、キャッシュレス決済などもあり、
硬貨や紙幣でのやりとりが減ってきてはいると思いますが、
金銭授受はしっかりやらなければいけません。
杜撰な取り扱いは決して許されません。

これも接客応対と全く一緒で、
受け取ったお金を確認して、
それに対して正確にリアクションする、それだけです。

電話応対も時にあります。
出版社さんやお客様とやり取りする時もあります。
「言った、言わない」論ほど虚しいものはありません。
耳で覚えようとせず、
メモに取って、ゆっくり呼吸して、最後に復唱して、私に聞き逃しはないでしょうか?と確認を取れれば問題ありません。

簡易テストがある場合も

面接時に簡易テストがある場合があります。
漢字の読み書き、簡単な算数問題、簡単な時事問題などの、
簡易なものです。
事前のアナウンスがないものもあります。
時間は10分15分もあれば出来るような簡易なものです。
しっかりと1時間くらい時間を取るような筆記テストもあるようですが、
それだけ長丁場なら事前に連絡があるとは思います。

いずれにしても求められるのは最低限の範囲と思います。
ちなみに30代でアメリカ現職大統領を答えられなくても採用されている人もいました。(後にすぐ辞めました)

ちゃんと募集しているところに応募すること

これは私の身に起きた実話ですが、
募集していない本屋に応募してはいけません。
普通に断られます。愛があってもだめなんです

出版不況の今、求められていない職場に応募しても断られるだけです。
むしろ今は人件費を削減したいのではとも思います。

本屋に勤めて楽しかったことTOP3

毎日新刊と戯れる

毎日新刊が運ばれて来て、茶紙に包まれた真新しい書籍を手に取ることが出来ます。
最!高!いい匂い。くんくん。
あの高揚感は得難いですね。

周りには本好きな人しかいない

基本的に本の話ばっかりしています。
休憩室でも本読んでいる人が大半ですね。
読むのが早い人は毎回違う文庫本持っていたりしました。

あと薄暗い人種も多いのが楽しかったです。
偉人ストーカー、鬱変態、時間の研究者……ちょっと何言ってるかわかんない人もいました。
でもそれだけ知識の距離があることが、楽しい!
同じ趣味を持つ人同士、打ち解けるのも早かったです。

情報などはいち早くキャッチできる

品切れ続出の新刊や特典本などは、やはり早く手に入れられます。
それは現場にいる人間のラッキーな点ですね。

刊行記念イベントの情報なんかは、
最前線でキャッチ出来ます。業務上致し方ない!

あとは配布数未定の人気のフリーペーパーなんかも確保できます。
業務上!致し方!ないのです!許して!

辞めた理由

そんな楽しい本屋さんですが、結局自ら去ることにしました。
あくまで私の個人的な考えによるものですが、
ご参考になれば幸いです。

険しい社員への道と薄給

お給料の多寡は生活に直結します。
都内の相場感覚ですが、飲食店で働いている方が稼げます。
1000円以下の時給だったので、家賃などを支払いながらの生活は楽ではないでしょう。

正社員への希望は明確に口にはしていましたが、
私の職場では新卒の姿を見かけたことがありませんでした。
採用していなかったのでは?と思います。

一方、薄給でも、正社員になれなくても10年以上勤めている人もいます。
それはひとえに本が好きだからに他なりません。

最悪、正社員になれないかもしれない、
そのことを頭にとめおきながらお勤めするのがよいかと思います。

「長く勤めていればいつか社員になれる」は多分難しいと思います。

私は正社員になりたい願望が強かったので、辞めることにしました。

ルーティーンの仕事

日々の業務、やることは正直決まっています。
品出し、レジ打ち、期限切れの雑誌の回収。
イレギュラーなことといえばお客様の応対くらいですが、
そのバリエーションも然程多くはありません。
1年もやっていればお客様の疑問もなんとなくわかってしまうものです。
平アルバイトは言われたことを淡々とやるだけで、
私はそれに飽きてしまいました。

それが嫌ならば、積極的な提案などが必要になります。
そういう提案を面白がって前向きに受け止めてくれるかは、
本屋さんの雰囲気や規模によりますし、
あなたの勤務態度や協力者の有無にもよるでしょう。

私は正社員になりたいと口で言いこそすれ、
やっていたことはそこらの平アルバイトと変わりありません。
給料が安くったって、やりがいを感じられる、
楽しい仕事にしたかったのなら、
もっとアピールしてトライするべきだったと、
今は反省しています。

それでもたまに思い返す本屋さんの仕事

知人から「もし給料がもっと高かったら本屋さん続けてた?」と尋ねられ、
良い質問だったので私は答えに窮しました。
お給料がよかったら、安心感があったら続けていたかもしれません。

それだけ毎日毎日が刺激的で、好奇心に溢れた日々でした。
私が人生で手に取れることの出来る本の少なさに、悲しくもなり、
でも次々に生み出される書籍に触れる喜びを感じていました。

本そのものの美しさに触れることも大きな喜びです。
デザイン、素材も日々進化していて、
本はただの情報装置でなく、
残したい、譲りたい、そう思える大切な物でもあります。

またお客様から本の問い合わせは、
この人の人生の問に触れ、
その答えに繋がる本を結びつける手助けだと思っていました。
たくさんの情報の中から、微力ながら、人を導けたことは、
私にとってそれは大きな喜びでした。

余談になりますが、
健康な長寿でいるための秘訣は知的好奇心だそうです。
本屋さんには知的好奇心しかありません。
ECサイトからのリコメンドも大体ハズれないですが、
予想外の出会いを求めて、本屋さんに是非お越しくださいませ。

お待ちしております。

ABOUT ME
つきよの
昭和生まれのおひとりさま女性。人付き合い苦手、父親に殴られ男性不審、10年付き合った彼氏にお金を貸して破局、大学中退、うつ、社畜、不当解雇、といった経験を飯の種にして「自分に正直に生きる」をモットーにしています。人生いろいろありますよね。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA