作品感想&紹介

解説動画を観てからアニメ進撃の巨人を観てみたけど、それでも良かったという話

進撃の巨人

アニメに映画に、漫画の完結に国内外で話題になっている進撃の巨人。
アニメ第1期〜第4期を遅ればせながら鑑賞しました。
2021年冬に第5期が放送予定を楽しみにしています。

もうすでにそこそこ盛り上がっている進撃の巨人。むしろ漫画完結してもう終わりを迎える作品。
「今更乗っからなくてもいいかなぁ」
「面白いって聞くけど……一話から観始めてつまらなかったら時間の無駄だし……」
「漫画を今更読破する気にもなれないしなぁ」

などとうじうじしていました。
なのでネタバレ解説動画を観て予習してから、アニメをイッキ観しました。
結果それで大満足です。
観ようか否か迷っている方は、いっそネタバレ・解説動画を観て大枠を掴んでから判断するのが、
時間の節約になります。

解説動画を観てよかったこと

  • 大枠がつかめるているので心の準備が出来る
    (キャラが死にまくるので、死ぬと分かっているキャラを愛さないで済む)
  • 細かい伏線に最初から気づけるので最初から見直す必要がない

今からハマりたい人は解説動画を観てから全話みよう

とりあえずあっちゃんの動画を倍速で観てもらえれば、大枠はつかめます。
また見どころポイントも理解出来ると思うので、
今からハマりたい人は、何に注目して観たらいいのかが分かります。

勿論ファーストインプレッションを大事にしたいぜ!という方は、
解説動画は見ずに、即AmazonPrimeVideoで全話一挙観鑑賞するのがよろしいかと思います!

ネタバレ解説動画を観たら観る気が失せるんじゃ…?とご心配なあなた。大丈夫です。
私自身もこのあっちゃんの動画を観て勉強してからアニメを観始めました。
アニメは一言では言えないくらい毎回結構エグいし格好いいしで、
大枠が分かっているにも関わらず毎回涙したりしました。

【進撃の巨人①】リクエストNo.1ダークファンタジーバトル漫画
【進撃の巨人②】最新話でとんでもない衝撃の展開 ※ネタバレ注意

進撃の巨人を観て考えざるを得ない重たいテーマの数々

王道のヒーロー性の否定

進撃の巨人に関心がない時でも耳に入ってくる情報から、
「主人公の仲間たちが巨人に貪り食われて、巨人を駆逐するために頑張ってる話だ」と理解していました。
すごくスピーディーなアクションシーンもあって格好良さげな印象でした。

ふたを明けてみると、人を喰う描写はかなりグロテスクで容赦がありません。
知性のない巨人は人と似た形をしているけれど、社会通念が通じない相手であり、
同じ人間だからわかりあえるような可能性をちらつかせて、容赦なく人間を食う形で裏切ってきます。

王道の少年マンガの主人公はヒーローで、いつも困難を乗り越えて強くなって、
最後には悪を討ち滅ぼしてハッピーエンドになるのがお約束です。
このお約束は最早ありきたりで、それに抗うような作品も珍しくはありません。
そんな王道ストーリーをつまらないなと思いつつも、どこか安心させられていたことを、
進撃の巨人で突きつけられた心地です。
「王道がつまんないとかいいつつ、本当はそれが心地良かったんでしょ?」と言われているようでした。

本能的な死の恐怖

巨人に食べられるキャラたちの断末魔がマジで怖いですよね…。
すごくリアルに感じられました。
私も言いそう、いや言うと思います。
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!!!」
「もうしません許してくださいホント嘘ですゴメンナサイもうしません!!!!」

大の大人達でも、両親に助けを求める場面もあり、本当にあり得るなと薄暗い気持ちになります。
死を間際にして両親のことを思い出すという経験は当然私にはないのですが、
日航機の墜落事故、韓国の修学旅行船の沈没事故、白人警官による黒人殺害事件など、
過去実際に起きた悲しい事故・事件の中にも見られることです。

そして巨人のテリトリーでは立体機動装置を使わずに勝てる見込みはほぼありません。
立体機動装置を失う=死、という認識で間違いないと思います。
なので立体機動装置が壊れてしまったり、装備を外されたりしたときの絶望は、本当に寒気がします。

ライナーたちに立体機動装置を奪われたマルコと、
獣の巨人に立体機動装置を奪われたミケの死を悟ったときの絶望は、心臓が止まりそうでした。
アニメで良かった。いやアニメなのに心臓がバクバクしてしまいました。
特にマルコは3年間も共に過ごした仲間に裏切られ、その悔しさと恐怖を想像すると頭が真っ白になりました。

ミケの声優は三宅健太さんで、僕のヒーローアカデミアのオールマイト役の声も担当しています。
オールマイトはヒーロー社会の象徴、ムードメーカーでヒーローの中のヒーローという立ち位置。
底抜けに強くて明るいキャラクター、という感じなのですが。
そんなミケ?が「やめてぇぇぇええ」と泣き叫びながら四肢をバラバラにされて死んでいくのは、
かなり堪えました。

勇気の発露、そして霧散、生きる意味や理由

チキンな私にはとても耐えられないストレスフルな状況に主人公たちは置かれます。
ときに励まされ、あるいは今はもう居ない誰かの言葉に背を押され、
自分を奮い立たせて過酷な道に一歩を踏み出します。
大事なものを捨てる勇気、茨の道を進む勇気、誰かを犠牲にすると決めた勇気。
心から血を流すような勇気の決断を下した後、
巨人という圧倒的な力に、あっさりとその勇気は砕かれ、霧散します。
本当にあっけなく。

人生ってそんなもんなのかしら、と諦観もよぎります。
どんなにイキっても、偉大な知識人も、詐欺師も、よちよちあるきの子どもも。
老若男女問わず、地位や立場を問わず。どんな大志を抱こうが、極悪非道な人間であろうが、
あっさりと死んでしまいます。

兵団の人間立ちはあまりに死に立ち会う数が多すぎて、
死んだ仲間たちに意味を与えるために生きるんだと息巻いて最前線に飛び込んでいき、
またあっさりと死んでいってしまいます。

このきりのない死に対して、慣れてしまったような、いつまでも慣れないような、
慣れないように戒めているような。
長く生き延びているキャラクターたちほど、
どんな感情を持てばいいのかもはや分からないという気配に、
また気分が重くなります。

推しキャラについて語らせてください

ユミル、おすすめは放送回は34話〜37話

悪ぶった不器用な優しい女の子です。
もう本当優しい子でした。幸せになって欲しかったです。
いやある意味で幸せになれたのかなとも思いますが……。

ユミル こんな感じの子です

もうチャンスは今しかない、と分かっていたとき。
なりふり構わず手をのばすことが出来るか。
これがいい子ちゃんには出来ないんですよね。
ユミルも根がいい子なので、求められたら自分を曲げて応じてしまう性だと思うのですね。
「ヒストリアが生き延びられる方向に持っていきたい、そうでなくても最後ひと目だけでも会いたい。」
なのにヒストリアの安全を保証するというライナーたちの説得にも現実性が感じられて、
ライナーたちを信じて自分の思いを後回しにしかけた。
そんないい子な自分をひっぱたいて、「今」「自分が」「ヒストリアを選ぶ」と決めて暴れるんですね。
「自分に嘘をつくのはやめろ、人のためにいい子ちゃんでいるな。」
ヒストリアに対しても上記のような願望を吐露しますが、
それはやはり自分に何度も言い聞かせてきた声だと思うんですよね。
何度も言い聞かせないといけないくらい、ユミルは根っからのいい子だと思うんですよね。
ヒストリアも同じようにいいヤツです。
いいことしようとしてるやつに気づけるのも、やはりその心の動きが分かるからです。
いい子に振る舞うやつの偽善の心が分かるんですよね。
痛い目も見たし絶望も味わったし、いい子を演じたってなんにもいいことが無いと知っている。
なのに人の幸せを優先してしまう。
これはある意味自己肯定感が低いゆえに、他人の犠牲に為ることで自分の存在意義を補おうとする自傷的な行為だと思うんですよね。
いい子も過ぎれは自傷になる。
そういう根に刻まれたいい子ちゃんを振り払い、ユミルはヒストリアの強奪の流れを作り出しました。
癖づいている思考を振り払うのは大きな勇気がいりますよね。

ヒストリアの強奪を叶えたユミルには、ヒストリアと僅かでもともに過ごす時間を得ることが出来たのに、
最後にはヒストリアを壁の中に託し、ライナーとベルトルトについていく決断をします。
彼らの境遇に想像がつくから、手ぶらでは帰れないだろう、と自分の命を手土産にすることを選びました。
結局いい子ちゃんじゃねぇかよ!なんでわがままに振る舞わないんだよ、バカヤロー!と号泣するポイントです。

ごめんな お別れのシーン

ヒストリアとの別れの瞬間、「ゴメンな」といってヒストリアを愛おしそうに撫でる描写にまた号泣します。
巨人が人を握りしめたら後は食うかぶん投げるかだけです。
あんな愛おしく、優しさを込めてそっと人を握りしめた巨人はユミルだけなんじゃないかしら。
あのシーンは本当に生暖かさを感じるような愛情表現だったなと思い出しても泣けてきてしまいます。

ライナーとベルトルトはユミルの助けもあって巨人の群れから逃げおおせることができました。
ユミルの晴れ晴れとした顔を見るとまた思い出し泣きしそうです。
ユミルはヒストリアの痛みも、ライナーとベルトルトの痛みも分かってしまう立場なんですね。

自己犠牲的に振る舞い、自分を後回しにしてしまうヒストリアの痛み。
逃げ場も理解者も居ない作戦に命を掛けて遂行しなければならないライナーとベルトルトの孤独と苦しみ。
この両者の苦しみの間でユミルは心を痛めたんだと思います。
結果的に自分を捨てて両方を助ける道を彼女自身が選択し行動したからこそ、
彼女は最後、晴れ晴れとした表情でいることが出来たんだと思います。
まじでユミルは女神様やで。

結果的にヒストリアを助け、ライナーとベルトルトを助け、ユミル自身は犠牲となりました。
これはユミルとしては選べた中で最良の結果と思います。
仮にヒストリア、ライナー、ベルトルトが死傷して、ユミルが一人生き延びていたとしても、
彼女は晴れ晴れとした気持ちには為ることが出来なかったでしょう。

またユミルが得た二度目の人生、獲得した自由を表現するシーンは、
エレンよりも主人公みたいなドラマチックな演出でした。

2021年冬アニメ化決定

漫画が完結し、2021年冬アニメでも進撃の巨人は完結します。
完結編を堪能する前の準備運動に、
これまで放送されてきたアニメSeason1〜3のダイジェスト版(全4回)が
11月8日(日)24時10分より放送されます。

公式HPより

これから進撃の巨人の世界に足を踏み込む方も、まだ間に合います。
一緒に楽しみましょう!

ABOUT ME
つきよの
昭和生まれのおひとりさま女性。人付き合い苦手、父親に殴られ男性不審、10年付き合った彼氏にお金を貸して破局、大学中退、うつ、社畜、不当解雇、といった経験を飯の種にして「自分に正直に生きる」をモットーにしています。人生いろいろありますよね。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA